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2006年7月25日 (火)

連載少年冒険読みもの「山の中」第4回

 日曜日がやってきた。
 オジさんとぼくのほかにもう一人加わり、「死体捜索隊」は三人になった。

 三人目はぼくのクラスのヤマザワだ。
 こいつは体は小さいがスポーツ万能で、けっこう女子に人気がある。
 小学生のくせに学校に腕時計をしてきて、先生に目をつけられたりしている。そういうトッポイところがモテるのだろう。
 単純で乱暴だけど悪いヤツではない。転校生のぼくに最初に話しかけてきてくれたのもヤマザワだ。

 クラスで「死体捜し」の話をしたら、「雷電山登るの? 遠足で行ったことあるけど、けっこう急だよ」とか「きついよ」とかいう根性のないヤツばかりだ。のってきたのはヤマザワだけだった、というわけ。
「もし死体見つけたら、『お手柄の小学生』とか新聞に載るかもしれねえな。よーし、万一に備えて非常用食料とかヘッドランプとかも必要だな」と張り切っていた。
 万一のことって、いったいなんだ?

 登山口の公園にやってきたヤマザワは、ボーイスカウトの兄貴に借りたという寝袋まで背負っている。
 日帰りの山歩きだというのに、どーするつもり? 調子に乗りすぎだ。

 雷電山の登りはホントにきつかった。
 ヤマザワが先頭をヒョイヒョイ登っていく。オジさんはいちばん後ろからペースを守って歩いてくる。
 木漏れ日っていうのか、ところどころ日が差す登山道はヒンヤリ涼しいけど、けっこう汗かくなあ。
 日曜日のせいかハイカーもたくさんいる。すれ違うたびに「おはようございまーす」とあいさつするのが忙しいくらいだ。

 雷電山の山頂には一時間ほどで着いた。
 山頂のちょっとした広場には雷電様をまつった石のほこらがある。そのまわりで五、六人の人が休んでいる。
 こっちは南東側になるのかな、山頂の半分ぐらいが木立もなく開けている。
 へえ、いい眺めだ。
 まちの中心部が全部見えるぞ。
 川がある。橋がある。ガスタンクがある。線路がある。あのJRの駅の向こう側が光小のあるあたりだろうか。

 いや、ゆっくりはしていられない。捜索隊の活動は始まったばかりだからな。
 行方不明になったおじいさんが最後に目撃されたのはこの山頂だったという。友の会の知り合いと言葉を交わし、いつものように北へ続く尾根道を一人で歩いていったんだ。
 ぼくたちもそのコースをたどった。

(つづく)

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