浅田次郎 泣かせるぜ
きょうは年内最後の里芋掘りをする予定だったが、雨だから中止。
しかしよく降るねえ。クリスマスを過ぎた年の瀬に、こんなまとまった雨が降るなんて。
しかも暖かい。
浅田次郎の小説を原作にした映画の話をしていたところであった。
写真のオッサンがベストセラー作家、浅田次郎さん。
1999年制作の映画「鉄道員(ぽっぽや)」を、なぜ今ごろ観たのかというと、太田イオンシネマの開館3周年記念企画だとかで、過去の名作を500円で上映していたのであった。11月末で終了。
このとき、上映直前に火災報知装置が作動するハプニングがあった。
「火災が発生しました。係員の誘導に従って避難してください」とテープ放送も流れたのである。
前列にいた女性が「出たほうがいいですかね?」と聞いてきた。
見ず知らずの人にそんなことを相談されても困る。
そんなことは自分のアタマで即座に判断しないと、万が一のときに命を落とすぞ。
ロビーに出た。
じっさいには何もなく誤作動と分かった。
それで、イオンシネマからは「お詫びに」と、観客一人ひとりに招待券1枚が渡された。
いろいろなことがあるものである。
ワタシの観ようとしていた「鉄道員(ぽっぽや)」はまだ上映が始まる直前で、中断された訳ではなかった。
ほかのスクリーンでは中断もあったようだ。
結果的にはラッキーであった。
このときロビーに飛び出してきたかたがたの様子を見ると。
「プラダを着た悪魔」を観にきていたオネエサマ、オバサマの数が圧倒的であった。
水曜日だから、レディースデーだったのね。
まったく平日の午前中から、いいご身分である。
こっちもだが。
浅田次郎原作の大人のファンタジーといえば、「地下鉄(メトロ)に乗って」もそうなのだが、これは観るつもりはない。
女優の岡本綾が好きじゃないのである。
つまらなそう。
中村獅童の酒気帯び運転事件では少し見直したけど。
こういっちゃなんだが、郵便局とか農協のポスターで微笑んでいるのがお似合いじゃないの?
いい女ぶってもサマにならないのである。
誤解でしょうか。
そのほかの役者はいい。堤真一、田中泯、笹野高史なんかはぜひ観たい役者さんなのだが。
浅田次郎の直木賞受賞作「鉄道員(ぽっぽや)」は、ご存じのとおり「泣かせ」の短編集である。
ホントに泣いちゃうから、夜中にでも一人隠れて読むのがよろしい。
表題作「鉄道員」もいいけどね。
この短編集に収められている「ラブ・レター」には号泣した。
たまらん。
うまい。うますぎるぞ浅田。
中国人の出稼ぎホステスと偽装結婚したチンピラヤクザの話。
死んだホステスが書き残した恋文。
余談だが。
大学の教育学部国語科の講義で「恋文」を取り上げたときに、この「ラブ・レター」の恋文を教授が朗読したんだそうである。
教授は朗読の途中、思わず声を詰まらせ、涙ぐんでしまったそうな。
恐ろしい威力である。
チンピラヤクザもたまらず心を入れかえて足を洗っちゃうよ。
で。
「ラブ・レター」も中井貴一主演で映画化されたんだが、評判はよろしくなかったそうである。
それはそうでしょう。
原作を読んだ人が観たら、もうそれは、ものすごい思い入れがあるわけだから。「全然違う!」ってことになっちゃう。
それにだいいち、ミスキャストである。
中井貴一がどこをどうやったって、歌舞伎町のチンピラヤクザには見えないでしょう。
最初から誠実そうなチンピラ、既に「改心済み」のヤクザである。
いくらワルぶったって、スゴんだって、ホントはいい人なんでしょ。
最後は善人になっちゃうんでしょ。
ちなみに、「鉄道員」も「ラブ・レター」も映画化のほか、舞台演劇にも、マンガ作品にもなっているそうである。
いろんなことを考えるクリエーターがいるものだ。
なかなか「007」の話に行けないな。
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