「武士の一分」を観る前に
山田洋次監督、木村拓哉主演。
「武士の一分」は間違いなく観る予定である。
準備万端。万全(?)の用意をしてきた。
これまで観よう観ようとして観られなかった、藤沢周平原作、山田洋次監督の時代劇2作。
ご存じ。
「たそがれ清兵衛」 (2002年)
「隠し剣 鬼の爪」 (2004年)
この2作をDVDとビデオで観た。
これでやっと、山田時代劇の「予習」ができたかな、と。
よかった。
山田洋次監督作品は今回の「武士の一分」で、70と何作目かになるはずである。
国民的映画「男はつらいよ」シリーズだけで全48作。
山田洋次監督作品を、そうねえ、少なく見積もっても延べ100回以上は観てきた身としては、時代劇3部作もね、ぜひ押さえておきたいと。
で、これまでの時代劇2作。やっぱり、いいねえ。
「地味だ」とか「インパクトがない」とか評する向きもある。
それはそうかもしれないし、当たっているかもしれない。
だけど山田監督は、派手な映画をつくりたいわけじゃないんだから。
それに、2作品とも(今度の「武士の一分」だって)ヤマ場は真剣勝負の決闘、果たし合いだよ。じゅうぶん派手だと思うけどな。
カーチェイスやドンパチのハリウッド映画じゃあるまいし。
いや、ハリウッド映画も邦画も、優れているものは優れているし、駄作は駄作だ。
ほかの巨匠の作品もそうだけど、優れた作品は「映画の滋味」とでもいうべきものが溢れている。
考え抜かれ、推敲に推敲を重ねた丁寧な脚本と台詞。
急がず、且つ、だらけない、緩急の間(ま)。
画面の隅々まで奥行きを感じさせる役者の配置と背景。
光の当て方。役者のアクションと陰影の妙。
実力と自信に裏打ちされた長回し。
それらが相まって醸し出す充実感と緊張感。
重厚さと軽妙さ。ユーモア。
例えば「鬼の爪」のラストシーン。
宮仕えの武士の身を続けることが心底イヤになって禄を返上した片桐宗蔵(永瀬正敏)が、きえ(松たか子)に会いに行き、夫婦(めおと)になって一緒に蝦夷地へ行ってくれと愛を告白する。最初は戸惑っていたきえが、やがて笑顔でそれに応える。
泣かせて笑わせる、ぐっとくるエンディング。
いい。じつにいい。
これを5分間近い長回しで、たったワンカットの芝居で見せるんだよ。
両人が芝居をしている間に、カメラはゆっくりと、じつにゆっくりと半円を描いて回り、最後は青空だけが二人の背景になる。
うーむ。
さすがだ、としか言いようがない。
凡百の映画監督、生半可な映画作家には撮れないシャシンである。
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コメント
先日、新大阪駅で山田監督を見かけました。渋かったなあ。
ホームに立ってたんだけど、なんとも言えないオーラがあった。
同じホームで島田洋七を見かけたけど、さほどのオーラは感じな
かったです。
投稿: 田の木ヒコヒコ | 2006年12月 1日 (金) 02時11分
俺たちが、30年前に、「ひと夏の未完成超大作」やっただろ。
あの、画像、柄澤さん持ってる?外注して音入れてDVDに焼けない?
音のカセットは探せば有るかも・・・
でも、シンクろしてないので、当時の音楽入れるしかないな。
8ミリフィルム、デジタル化しよう。送ってくれればこちらで外注するよ。
投稿: たかやす。 | 2006年12月 2日 (土) 03時36分