2008年1月 3日 (木)

ガンダーラ仏は超イケメン

上野である。
西郷どんである。

暮れのうちに来たかったのだが年を越してしまった。
しかし、それで正解であった。

Saigoudon

東京国立博物館。
1月2日から新春企画「博物館に初もうで」。
そして1月2日だけ
平常展が無料で観覧できるのである。
平常料金一般600円のところが、タダ。
望むところだ。

東京国立博物館の中では「東洋館」がわりと好きですね。
インド・ガンダーラ彫刻や中国彫刻。
そしてエジプトのミイラ。

で。
結局、本館の「日本美術の流れ」もひととおり観てしまう。
「新春特別展示」や「新春の国宝室」もあるし。

だが、今回、いちばん見たかったのは
本館の特別陳列
「仏像の道―インドから日本へ」だったのです。

Ikemen1

仏像の誕生したガンダーラから中国、朝鮮半島、日本の仏像を特集し、それぞれの時代、地域で、どのような仏像が作られ、人々の信仰を集めていたのかをたどる―というのが今回の展示の趣旨だそうで。

前々から思っていた。

インド・ガンダーラの仏像と日本の仏像を比べると一目瞭然。
仏さまの姿形、ルックスがまったく違う。
こんなに違っていいのか。
同じ仏教なのか。同じように仏像と言っていいのか。

俗な言い方で、ひとことで言ってしまいますと
ガンダーラ仏は、たいへんなイケメンだ。

ギリシャ彫刻、とはまた少し違うのだけれど
顔の彫りは深く
鼻筋はすっと、きれいに通り
目はぱっちり
甘い顔立ち。

ようするに、美しいインドの若者である。

Ikemen2

日本の仏像に比べたら
クシャーン朝時代のガンダーラ仏なんてはるかに古いわけだが
却って新しく感じるというか
まるでジャニーズ系!?

ガンダーラ仏、恐るべし。

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2006年12月26日 (火)

浅田次郎 泣かせるぜ

Photo_47 きょうは年内最後の里芋掘りをする予定だったが、雨だから中止。
 しかしよく降るねえ。クリスマスを過ぎた年の瀬に、こんなまとまった雨が降るなんて。
 しかも暖かい。

 浅田次郎の小説を原作にした映画の話をしていたところであった。

 写真のオッサンがベストセラー作家、浅田次郎さん。

 1999年制作の映画「鉄道員(ぽっぽや)」を、なぜ今ごろ観たのかというと、太田イオンシネマの開館3周年記念企画だとかで、過去の名作を500円で上映していたのであった。11月末で終了。

 このとき、上映直前に火災報知装置が作動するハプニングがあった。

 「火災が発生しました。係員の誘導に従って避難してください」とテープ放送も流れたのである。
 前列にいた女性が「出たほうがいいですかね?」と聞いてきた。
 見ず知らずの人にそんなことを相談されても困る。
 そんなことは自分のアタマで即座に判断しないと、万が一のときに命を落とすぞ。

 ロビーに出た。
 じっさいには何もなく誤作動と分かった。
 それで、イオンシネマからは「お詫びに」と、観客一人ひとりに招待券1枚が渡された。
 いろいろなことがあるものである。

 ワタシの観ようとしていた「鉄道員(ぽっぽや)」はまだ上映が始まる直前で、中断された訳ではなかった。
 ほかのスクリーンでは中断もあったようだ。
 結果的にはラッキーであった。

 このときロビーに飛び出してきたかたがたの様子を見ると。
 「プラダを着た悪魔」を観にきていたオネエサマ、オバサマの数が圧倒的であった。

 水曜日だから、レディースデーだったのね。

 まったく平日の午前中から、いいご身分である。
 こっちもだが。

 浅田次郎原作の大人のファンタジーといえば、「地下鉄(メトロ)に乗って」もそうなのだが、これは観るつもりはない。

 女優の岡本綾が好きじゃないのである。
 つまらなそう。

 中村獅童の酒気帯び運転事件では少し見直したけど。

 こういっちゃなんだが、郵便局とか農協のポスターで微笑んでいるのがお似合いじゃないの?
 いい女ぶってもサマにならないのである。
 誤解でしょうか。
 そのほかの役者はいい。堤真一、田中泯、笹野高史なんかはぜひ観たい役者さんなのだが。

 浅田次郎の直木賞受賞作「鉄道員(ぽっぽや)」は、ご存じのとおり「泣かせ」の短編集である。

 ホントに泣いちゃうから、夜中にでも一人隠れて読むのがよろしい。

 表題作「鉄道員」もいいけどね。
 この短編集に収められている「ラブ・レター」には号泣した。
 たまらん。
 うまい。うますぎるぞ浅田。

 中国人の出稼ぎホステスと偽装結婚したチンピラヤクザの話。

 死んだホステスが書き残した恋文。

 余談だが。
 大学の教育学部国語科の講義で「恋文」を取り上げたときに、この「ラブ・レター」の恋文を教授が朗読したんだそうである。
 教授は朗読の途中、思わず声を詰まらせ、涙ぐんでしまったそうな。

 恐ろしい威力である。
 チンピラヤクザもたまらず心を入れかえて足を洗っちゃうよ。

 で。
 「ラブ・レター」も中井貴一主演で映画化されたんだが、評判はよろしくなかったそうである。
 それはそうでしょう。
 原作を読んだ人が観たら、もうそれは、ものすごい思い入れがあるわけだから。「全然違う!」ってことになっちゃう。

 それにだいいち、ミスキャストである。
 中井貴一がどこをどうやったって、歌舞伎町のチンピラヤクザには見えないでしょう。
 最初から誠実そうなチンピラ、既に「改心済み」のヤクザである。

 いくらワルぶったって、スゴんだって、ホントはいい人なんでしょ。
 最後は善人になっちゃうんでしょ。

 ちなみに、「鉄道員」も「ラブ・レター」も映画化のほか、舞台演劇にも、マンガ作品にもなっているそうである。
 いろんなことを考えるクリエーターがいるものだ。

 なかなか「007」の話に行けないな。

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2006年12月 1日 (金)

「武士の一分」を観る前に

Ichibun  山田洋次監督、木村拓哉主演。
 「武士の一分」は間違いなく観る予定である。

 準備万端。万全(?)の用意をしてきた。
 これまで観よう観ようとして観られなかった、藤沢周平原作、山田洋次監督の時代劇2作。

 ご存じ。
 「たそがれ清兵衛」 (2002年)
 「隠し剣 鬼の爪」 (2004年)

 この2作をDVDとビデオで観た。
 これでやっと、山田時代劇の「予習」ができたかな、と。

 よかった。

 山田洋次監督作品は今回の「武士の一分」で、70と何作目かになるはずである。
 国民的映画「男はつらいよ」シリーズだけで全48作。

 山田洋次監督作品を、そうねえ、少なく見積もっても延べ100回以上は観てきた身としては、時代劇3部作もね、ぜひ押さえておきたいと。

 で、これまでの時代劇2作。やっぱり、いいねえ。

 「地味だ」とか「インパクトがない」とか評する向きもある。
 それはそうかもしれないし、当たっているかもしれない。

 だけど山田監督は、派手な映画をつくりたいわけじゃないんだから。
 それに、2作品とも(今度の「武士の一分」だって)ヤマ場は真剣勝負の決闘、果たし合いだよ。じゅうぶん派手だと思うけどな。
 カーチェイスやドンパチのハリウッド映画じゃあるまいし。
 いや、ハリウッド映画も邦画も、優れているものは優れているし、駄作は駄作だ。

 ほかの巨匠の作品もそうだけど、優れた作品は「映画の滋味」とでもいうべきものが溢れている。

 考え抜かれ、推敲に推敲を重ねた丁寧な脚本と台詞。
 急がず、且つ、だらけない、緩急の間(ま)。
 画面の隅々まで奥行きを感じさせる役者の配置と背景。
 光の当て方。役者のアクションと陰影の妙。
 実力と自信に裏打ちされた長回し。
 それらが相まって醸し出す充実感と緊張感。
 重厚さと軽妙さ。ユーモア。

 例えば「鬼の爪」のラストシーン。

 宮仕えの武士の身を続けることが心底イヤになって禄を返上した片桐宗蔵(永瀬正敏)が、きえ(松たか子)に会いに行き、夫婦(めおと)になって一緒に蝦夷地へ行ってくれと愛を告白する。最初は戸惑っていたきえが、やがて笑顔でそれに応える。
 泣かせて笑わせる、ぐっとくるエンディング。
 いい。じつにいい。

 これを5分間近い長回しで、たったワンカットの芝居で見せるんだよ。

 両人が芝居をしている間に、カメラはゆっくりと、じつにゆっくりと半円を描いて回り、最後は青空だけが二人の背景になる。

 うーむ。

 さすがだ、としか言いようがない。

 凡百の映画監督、生半可な映画作家には撮れないシャシンである。

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2006年11月28日 (火)

私はダリでしょう?

Dari  上野の森美術館でやっている「ダリ回顧展」の入場者が30万人を突破したそうである。

 ワタシも見てみたいと思っていたので、このあいだ、国立科学博物館の見物に行ったときに、上野の森美術館の前も通って様子を見たのであるが。

 込んでいる。

Dari2  「平日がおすすめ」とPRしているけど、平日でもこの程度には込んでいる。この日は火曜日だった。
 まあ、土日に比べれば、はるかにマシだということなんだろう。

 イヤだなあ。お祭りならいいけど、モノを見るのに込んでいるのはイヤ。
 自分のペースで見られないからね。
 科学博物館の「ミイラと古代エジプト展」も込んでいて疲れた。

 ホントにすいている平日って、いつなんだろう。

 サルバドール・ダリ。できれば12月中に見てみたいのだが。

 「何時間待ち」とか、そんな立て札の出る所に並ぶのは、ホントにイヤ。
 何のために、何をしに来ているのか。
 バカバカしくなっちゃうんだよなあ。

 それだったら、図録を見てるほうがいいや、なんてね。

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2006年11月14日 (火)

ミイラと古代エジプト展

Kanban きょうはひさびさの上野である。
 さる3月のお花見時期以来だから、じつに8ヵ月ぶり。

 なにしろオカネがないので、交通費をかけてお出かけするのは、なかなかね…。

国立科学博物館の
「大英博物館 ミイラと古代エジプト展」
である。
 会期は10月7日から始まって来年2月18日まで。

 平日がいいだろうと、ローソンでチケットを買って、きょうに備えたのだった。

 いやあ、平日だって込んでるじゃないの。子どももいっぱいいるし。

 科学博物館は、ふつう写真撮影OKなんだけど、今回のミイラ展は撮影不可だ。まあ仕方ない。

 3Dミイラシアター、いいね。
 紀元前800年ごろのエジプトの神官ネスペルエンネブウという中年男性のミイラなんだと。
 立体映像観賞用の3Dメガネは記念にお持ち帰りです。

Hakusei  ミイラ展示もじっくり見た。
 副葬品もすごい。ヒエログリフを刻んだ石板もすごい。
 第18王朝だとか第22王朝だとか。

 企画展の日本の科学者技術者展シリーズ「南方熊楠」も、さらに欲を出して常設展も全フロア回ったので、さすがにクタクタ。

Shirakansu  このところ右ひざと右股関節の具合がよくなかったので、立ちっぱなしは特にきつい。
 ウオーキングしたり野山歩きをしているほうがラクだ。

Ennjinyoko  本来は、常設展だけでも、たっぷり一日がかりの「科博」見物なのでした。

 写真が撮れたのは常設展だけ。

Rushii  ところで、320万年前の猿人・アウストラロピテクスの成人女性という「ルーシー」。エチオピアで出土した骨をもとに復元された姿だけど。

 こういうオバさん、今でもいるよね?

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